クリエイティブ

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陰山銀塩白黒ラボラトリー 陰山光雅さん

「瞬間(とき)は常に流れ続け、人も風景も喜びも悲しみも、すぐ過去のものとなってしまう。この今を100年先も褪せることなく次の世代へ写真として残していきたい」。そう白黒写真への思いを語るのは、陰山銀塩白黒ラボラトリーの陰山光雅さんだ。


大切な瞬間を残し続ける

陰山さんの処理する白黒塩銀プリント。金属である銀を用いて現像する手法で、色がきれいなグラデーションとして浮き上がり、耐光性も高く色褪せしにくいのが特徴だ。手間はかかるが、一つ一つ完璧に処理すれば100年以上保つことができるそうだ。

スマートフォンやデジタルカメラなどで撮影したデータをインクジェットで色鮮やかに印刷できるようになった現代において、白黒写真を選ぶ人は多くはないだろう。しかし、カラー写真の寿命は50年程だそうでデータの消失といったリスクもあり、保存という点では白黒写真に劣る。「写真は大切な瞬間を残すためのもので長く残せてこそ、その役割を果たす。たまにで良いので白黒写真を撮る人が増えると嬉しい」と語る陰山さんの言葉には白黒写真への愛がこもっていた。

フィルムカメラと未来へ

現在も試行錯誤しながら白黒写真の普及に取り組む陰山さん。東京での個展開催など、精力的な活動が目に留まり、ニューヨーク近代美術館が注目するアーティストとして、作品を提供したこともあるそう。今を変わらない形で未来に残し続ける陰山さんから今後も目が離せない。