令和8年度 琴浦町施政方針
令和8年3月定例議会(令和8年3月4日)でありました
福本まり子町長の「令和8年度琴浦町施政方針」は次のとおりです。
本日、令和8年度当初予算案をはじめ、関係諸議案を提案させていただくにあたり、2期目の任期及びその最初の年度に臨む私の所信及び町政運営の基本方針を申し上げ、町民の皆様及び議員の皆様のご理解とご賛同を賜りたいと思います。
はじめに
令和4年の町長就任以来、「人に優しく、環境に優しい、まちづくり」を目指し、町の課題に取り組み、まちづくりビジョンなどに掲げた町の将来像の実現に向けて邁進してまいりました。そして先般の選挙においては「居心地のいいまちづくり」を主眼に据え、様々な個性を持つ町民が参加し、楽しく生活を送れるまち、一人一人が幸せを実感し活気あふれるまちを目指していきます。
任期1期目後半から特に顕著になった、人口減少の流れは、今や日本全体の課題となる中で、わが町の今後、5年先、10年先、さらに次の世代にこの町をどのような姿で引き継いでいくのか。その時代を見据えて、まちの姿をデザインし、施策に反映していく必要があります。
技術の発達に伴い、10年前には空想であったような事物が生活に浸透し、生活様式にも少なからず変化を与えています。さらにそれにもまして、人々の意識も変化し、古き良きものを懐かしみ、その復活を目指すだけでは、これからの時代を生きる人々の共感を得ることはできません。
古い固定観念を脱し、時代の流れを見定め、変わるべきは変え、残すべきは時代に即した姿で残していく。そのような変革を恐れず挑戦していくべきであると考えております。
本町を取り巻く諸課題
人口減少と高齢化
ほぼすべての自治体が直面する人口減少と高齢化の実態は、以前に行った人口推計を大きく下回り、不可逆的に進行しています。昨年度実施された国勢調査の集計結果を待つまでもなく、身の回りの変化はすでに実感できてしまうレベルに達しています。
出生数については、令和6年は63人、令和7年は56人となっており、人口減少がより急速に進んでいます。また、高齢化率は、平成27年の国勢調査時の34.4%から令和2年には36.8%と2.4ポイントの上昇となっており、直近の住民基本台帳では38.9%とさらに2.1ポイント上昇しています。
地域コミュニティの維持、展開
以上のような人口問題は自治会の存続にも影響を与えています。また、居住環境や世帯構成の変化などにより、地域を支えてきた地縁関係が希薄化し、さらに超高齢社会により自治会役員の負担、なり手不足は深刻となっており、地域コミュニティを支えることは行政として重要な課題になっています。
地域の持続的な維持発展のため、交通やインフラ、施設の活用など、町民が安心して、心地よく生活できるまちづくりを検討し、実現していきます。
産業・経済、働く場所の維持、確保
国道9号沿いの店舗閉店や工場の閉鎖が続く中、地域経済や町民の雇用、生活への影響も懸念されるところです。人材確保のためには、賃上げが不可欠です。しかし、すべての産業が大胆な賃上げに踏み切れるほどの経営体力があるわけではありません。また仕事を通じた自分の成長を実感できる機会や夢の実現など、様々な仕事があるからこそ掴める環境を維持していく必要があります。
この町に住む人が新しいチャレンジをできる環境をこれから考えていきたいと思います。またすでにある産業においても、その新たな事業展開を応援できるような施策をさらに進めてまいりたいと思います。
持続可能な生活環境の充実
地政学的な要因により乱高下するエネルギー価格のリスクを抑え、生活環境の持続可能な維持を図っていくため令和7年度から本格的に開始した、脱炭素社会の実現に向けた取り組みや再生可能エネルギーの活用に向けた取り組み、資源の有効活用に向けた取り組みをさらに具体化させ、より住みよいまちとしていく必要があります。
昨年10月から開始したプラスチック再商品化に向けた分別回収だけでなく、遊休農地を活用した再生可能エネルギーの活用など、環境維持に向けた施策を大きく前進させることができました。これら取り組みは、環境保護だけでなく、エネルギー消費の削減に繋がるものです。甚大な被害をもたらす異常気象などの気候変動問題の解決へ貢献するものとして、この取り組みに共感する人が琴浦町に関心を持ってもらうことも期待するところです。今後4年間はその効果をさらに拡大してまいりたいと考えています。さらに次の新たな展開も模索していきたいと考えております。
公共施設の最適化
また人口減少社会において、過剰となってしまう公共施設の延床面積の削減に向けた取り組みを加速させなければなりません。昨今の建設資材を含めた物価、賃金の上昇により、公共施設の更新費用は管理計画策定当時よりも大幅に増大しており、計画の見直しによる縮減を一層推進することが必要となってきています。ただその際、単純な縮小、削減では町の魅力も活気も縮小しかねません。将来を見据えたより魅力的な、そして持続可能な方向性を考えていきます。
防災の拡充
今年に入ってすぐに発生した島根県東部を震源とする地震など、顕在化する災害リスクに備え、その減災対応の必要性を改めて強く認識させられました。町民の生命と財産を守るための災害への備えは最優先事項として、取り組まなくてはなりません。危険個所の削減、防災備蓄の確保など出来うる対策をさらに進めていきます。
町政運営の方向性
以上述べてきた諸課題に限らず、このほかに様々な難題が山積している中で、新しい時代の琴浦町へ変革をし、将来の姿をより総合的に設計していくため、人口推計の見直しを行い、またこれに基づく将来のまちの設計を行っていきます。
具体的には従来の移住定住という人口施策だけでなく、より現実的な人口推計に基づく、まちの目指す方向性を検討するため、人口戦略推進室を新たに設け、総合的な観点から、施設や事業の目指す方向性をデザインしなおし、総合調整、推進を図っていきます。
令和8年度当初予算案の概要
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1.人を大切に
まちの未来そのものである子どもたちの可能性を伸ばし、健やかな成長を支える施策に力を入れます。安心して子どもを生み育てられる環境を整備するため、子育て世帯への支援として、これまでの小児医療費無償化、こども園における紙おむつ定額制サービスの負担軽減などに加えて「こども誰でも通園制度」を開始、小学校給食の無償化を始めます。
また、子育てに関する相談や支援を充実させるため、「こども家庭センターすくすく」による、母子保健機能と児童福祉機能の重層的支援、相談をより効果的に進めます。
教育面では、各小中学校の特色を活かした地域を題材としたふるさと教育をさらに深化させるとともに、地域に根ざした教育環境と子どもの特性に合わせた教育を進めていくためコミュニティ・スクールの取組を引き続き進めていきます。国際理解と国際感覚の涵養を目指し、台湾との中学生相互派遣交流を引き続き実施いたします。
町民が健康で笑顔があふれる町とするため、帯状疱疹ワクチンなどの予防接種、積極的に対象者へアプローチする出張がん検診、高齢者の健康を維持していただくためフレイル予防や介護予防教室などの取り組みを継続するほか、さらに一人暮らしの高齢者の社会参加を促す取り組みを開始し、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう支援いたします。
さらに障がいのある方や、地域との接点が少なくなってしまった方々が再び地域とのつながりを持ち、また町民の理解を深めるため、役場のスペースを活用した「ことうらふれあいマルシェ」を実施していきます。
2.地域の輪を広げる
令和8年度に以西地域交流センターが新たな施設としてスタートを切ります。その他の地区においても公民館を基軸として、地域住民が描く将来像を実現するため、ハード面の整備をはじめ、ソフト面においても地域と行政が連携して取り組んでまいります。
さらに、鳥取うみなみロードのエイドステーションとして日韓友好資料館を活用したサイクルステーション拠点整備を行うとともに、船上山さくらまつり、紅葉フェスの開催などにより地域の魅力を発信し、観光入り込み、交流人口の増加を目指してまいります。
行政サービスの向上を図るため、DXにも取り組んでまいります。具体的には、窓口における行政手続きの負担軽減を図る「書かない窓口」をさらに拡充させるものとして、顔認証装置を活用した申請書作成支援の導入、公共施設利用の利便性を向上させるものとしてスマートロックの導入、住民票などの取得についてコンビニエンスストアでの取得を普及すべく、一年間に限り交付手数料を引き下げます。
3.輝く産業、経済の強化
活気あふれる地域経済を維持するため、スマート農業の推進、自給飼料生産緊急支援事業、畜産経営第三者継承事業などの取り組みを引き続き支援してまいります。また、中小企業ステップアップ支援補助金を事業者ニーズに応じて変更するほか、起業支援補助金、未来人材奨学金返還支援の対象を拡充し、人材獲得を支援いたします。
基幹産業である畜産業製品である生乳の消費拡大と、持続可能な酪農乳業の実現に寄与するため、ふるさと融資制度を活用し資金面での支援を行います。
新産業の創出を促進するため、町内で新たに始まるワイナリー事業を核として、琴浦産品のブランド化をさらに推し進める展開を実施します。
4.壊さない環境、活かす施設
施設設備の老朽化が著しかった赤碕コミュニティセンターはZEB化改修に向けた検討を進めてまいりましたが、いよいよ事業化を開始します。そのほか自治会集会所や中小企業のLED照明への転換を支援していきます。
プラスチックリサイクルを推進するため分別回収、そして再商品化を開始したところですが、これらの実効性をさらに高め、より効果的なごみの分別を推進するため、AIアプリの導入を行います。
災害へ備え、町民の安全・安心な暮らしを確保するため、浸水被害防止対策のための工事、急傾斜地崩壊対策のための工事を継続実施するほか、危険空き家の除却をさらに進めるため新たな方式の導入を行います。
今ある施設をできるだけ活用して、住民生活をより豊かにするため、東伯総合公園の改修を引き続き進めるほか、旧古布庄保育園を改修し、地域の交流センターへ再生します。
以上のほか、旧カウベルを含めた遊休財産のあり方について方針を定めていきたいと考えております。
おわりに
以上申し上げた方針に基づいて編成した令和8年度一般会計の当初予算は148億5300万円となり、前年度より16億8900万円の増額と、琴浦町において過去最大規模の予算となっております。
そのほか、国民健康保険会計などの福祉関連、上下水道などの生活インフラ関連をはじめとする町民生活を支える特別会計をふまえた全16会計の総予算は 224億7598万6千円となり、前年度より18億8605万3千円の増額となっております。
令和8年度は、これらの重点施策を着実に推進し、町民の皆様が安全・安心で豊かに暮らせる「居心地のいいまちづくり」を目指します。
以上が2期目のそして令和8年度の町政に臨む私の所信及び町政の基本方針であります。町民の皆さま、議員各位のご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
令和8年度施政方針(全文).pdf(335KB) 令和8年度予算の全体像.pdf(205KB) 令和8年度当初予算の概要.pdf(3MB) ※予算の全体像と当初予算の概要は議決前のものとなりますのでご承知ください。