広報ことうら155
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循環濾過養殖システム(RAS) これまで国内の養殖方法は、海域を占有もしくは、大量の水を流して使用する必要がありました。5月26日、鳥取林養魚場に世界で初めて、卵から成魚までの成長を一貫して管理する「循環濾ろ過養殖システム(通称RAS:Recirculating Aquaculture Systems)」が導入され、現在稼働中です。このシステムは、飼育水を循環濾ろ過し、繰り返し使用することができ、魚にとって水を最適な条件に調整することで場所を選ばず、高密度で安定的な生産を行うことを実現するものです。システムの導入により、使用する水が少なくてすみ、廃棄物も100%近く回収できるため、環境に優しい養殖ができます。また、自然災害や疾病流入の危険性が少なく、通常よりも早く生育できることなどの利点がたくさんあります。このシステムにより、稚魚約100万尾が元気に成長しています。今年の8月にはすべての工事が完了する予定となっており、11月にはギンザケの生産・加工・販売を行っている弓ヶ浜水産への種苗出荷を、来春には成魚の出荷開始を目指しています。ここがすごい!鳥取林養魚場だけの特徴に、いろいろな人に助けていただいて、本当に嬉しかったです。他に嬉しかったことは、先日、福島のベテラン社員が、鳥取林養魚場で育った稚魚の様子を見る機会があったのですが、「とっても立派に成長している」と高く評価してもらったことが、とても嬉しかったです。それを励みに頑張りたいです。仕事をする上で気をつけていることは、稚魚の飼育管理はもちろんですが、自分自身の健康管理にも特に気をつけています。現在は創業間もなく、少人数で操業しているため、私が動けなくなったら魚にも影響が出てしまいます。生き物を扱うということは、飼育管理する人も日々何事にも気をつけなければ、魚が病気をしたり死んだりしてしまうため、常に気を抜くことができません。●水が大量に必要(漁業権や水利権が必要)●糞や残餌は垂れ流し(環境負荷がかかる可能性が高い)●自然まかせ(自然災害や異常気象に左右)●重労働で危険な作業●水が少なくて済む(養殖適地が広がる)●糞や残餌はフィルターで回収(低環境負荷)●屋内で集約的に管理(自然に左右されない)●コンピュータで集中管理(自動化で省力化)RASの場合在来型養殖方法大きな夢をギンザケに託して将来の展望について考えると、夢がたくさん膨らんできます。まず、世界初のRASというシステムを利用しているため、これを起点にいろいろな所から注目を浴びると思いますね。将来的には、琴浦町をサーモンの聖地と呼ばれるような発信地にしていきたいです。もちろん、地域ブランドとして、町民の皆さんにも愛されるブランドにしたいと思います。「食のるつぼ」琴浦町というキャッチフレーズのとおり、琴浦町には本当に美味しいものがあると感じており、町の生産者や飲食店とも連携し、新たな名物を作っていけたらいいなと思います。先日、鳥取県の境港サーモンが、愛知県のスーパーで販売されているのを見ましたが、琴浦町のサーモンも、全国的に販売できるブランドになるよう、発信していきたいと思います。また夢は大きく、海外への販売も考えていきたいと思っています。㈱鳥取林養魚場代表取締役 萩原 岳人氏ことうら 2017. 77
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